シニア情報生活アドバイザーの実情と役割
NPO法人シニアネットひろしま
理事長 塩見信雄
【NPO法人シニアネットひろしまのアドバイザーに関する理念】
・・「シニア情報生活アドバイザー」は、パソコンのスキルは勿論のこと、シニアに関する諸制度を理解し、併せて変化する社会の動きに関する情報をネットで収集する。それに基づき、シニアの生活に役立つ情報として自分自身はもとより、シニア層に提供し、シニアが健康で明るく暮らせるよう活性化に努めると共に、ボランティア活動、地域活動、生涯学習、世代間交流等、積極的な社会参加を促進する。さらに、アドバイザー自らは地域のオピニオン・リーダーとなるように、資質の向上に努め、社会から信頼されるアドバイザーを目指すものとする。・・・
     平成20年1月1日
     NPO法人シニアネットひろしま

           理事長 塩見信雄
1.アドバイザーの誕生・シニアと共に学ぶ

 パソコンを「学ぶ」シニアの横に「シニア情報生活アドバイザー」が常にいる・・・
いままでに、アドバイザーに関して、その目的や制度について多くの文献が存在しています。今回、私は、制度を作り管理するサイドからの論述ではなく、アドバイザーである自分たち、即ち、アドバイザーそのものの立場に視点を当てて、ダイジェストとして論述することとします。
 平成11年に、(財)ニューメディア開発協会がメロウソサエティ構想の具体的施策の一つとして「シニア情報生活アドバイザー制度」を創設されました。このメロウソサエティ構想は、わが国の急速な高齢化に対応して、ゆとり豊かで活力ある高齢社会の創造を目指し、情報・通信システムなどの活用によって、高齢者の積極的な社会参加を実現しようとするものです。・・・(以下、高齢者をシニアという)
写真1〕 アドバイザー養成講座における
          村岡部長挨拶
 1.1  生活情報・・・*1:

 では、なぜ、情報・通信システムの活用が、シニアの社会参加を実現できるので
しようか。その関係を探ります。近時、シニアの生活環境は従来とは比較にならないほど変化し、暮らしに必要な法制度は18種類にも及びます。これら諸制度は、既存のものは次々と改正され、また、新しく誕生するものも多い現状です。このため、ゆとりある豊かな社会を創造するためには、シニアの社会参加を図る前に、シニア自身がこれらを十分に理解し対処して自助自立ができていなければなりません。例えば平成20年4月から施行される「後期高齢者医療制度」もその一つです。これらの情報を的確に把握して諸制度を理解し、自分たちの生活にどのように関係し、影響するのかという必要情報を得ることが欠かせないのです。 ・・・生活情報 *1:
 1.2  宝箱・・・*2:

 この情報を得る最大のツールがパソコンであり、パソコン操作ができることがシニアに求められているのです。
また、パソコンは生活に必要な情報の宝庫であると同時に、一方では、シニアが好む趣味の世界を満足させてくれる「宝箱」でもあるのです。たとえば、ペイントやオートシェイブを使ってのお絵かきで、自分の才能を発見したり、デジカメで旅行記やアルバム編集、自分史や出納帳、健康管理表の作成、また、メールによる交流の広がりなど、数え切れない楽しみを与え、生活に明るさと豊かさをもたらしてくれるのです。   ・・・宝箱 *2:




〔図1〕 お絵描きの作品(ハガキ)
私たち、NPO法人シニアネットひろしまでは、この*1・*2に着目し定款に定め、これを理念として法人を立ち上げ、「シニアパソコン教室」・「シニアセミナー」を開いてシニアの方々と共に学んでいるのです。そして、学びの効果を発揮するのは、「学び」の場所で、「学ぶ」シニアの横に心優しい「シニア情報生活アドバイザー」が、常にいるからなのです。同時に、毎月「アドバイザー研修会」を開き、パソコンのスキルアップのほか、これら*1・*2に関する事柄を「社会の動き」として勉強し、アドバイザーの資質向上をはじめ、シニア全般の活性化と社会参加を促進するよう心がけ、自らは「地域のオピニオン・リーダー」になることに努めているのです。
2.シニアにパソコン学習が必要な理由・・・前ページ*1・*2参照

 シニアには生活する上で「シニアの三大不安」があると言われています。
 2.1 第一は健康問題です。

 病気をせずに健康で生きいきと暮らしたい、いつまでも長生きしたい、これは
誰もが望むことです。日本の平均寿命は、女性85.75歳・男性78.79歳と世界一の長寿国です。健康を維持するために必要なことは、「自分の健康は自分で守る」ことを基本として、定期健康診断を必ず受診し、早期発見・早期予防に努めること。健康日本21運動の中に8020運動があり、80歳で自分の歯を20本維持すること、このための口腔ケアに努めること。スローライフが唱えるように“よく噛み”消化吸収を円滑に行えるようにすること。食育基本法が提唱する、日々のバランスのよい食事の習慣をつけること、等々です。・・・これらの情報は、大半がネットから検索可能で、パソコン学習によって検索の技は身につくのです。
2.1第二は生活設計です。

 いまシニアは三重苦といわれています。これは定率減税の影響から所得額面が
増え、所得税がアップすると同時に保険料や医療費の自己負担額の変更等、支出が増えたこと。高齢化の進展によって介護保険にかかわる一号被保険者の保険料がアップしたことです。地域によって保険料は区々ですが、自分の保険料はどうなるのか、市町村のホームページに掲載されています。また、平成の大合併による保険料の変化も熟知しておかねばなりません。
このように、収入が減り支出が増え鋏状格差が広がっているのです。今後の生活設計をどのように建てて行くのかは、シニアにとっては非常に重要な要素です。一方で振込み詐欺などに合わないよう自分自身で注意が必要なことは言うまでもありません。
 2.3 第三は生きがいづくりです。

 芸術・文化・園芸など趣味のある人はそれを伸ばし、特技のある人は技を磨く、
囲碁・将棋・ゲームの好きな人はネットで外国人とも対戦できる世の中になっているのです。 地域の活動やボランティア活動に興味のある方はそれに参加する。生涯学習の推進、世代間交流、障害者支援などと多くのテーマがあります。これらによって仲間づくりやまちづくりに共鳴し、ニューメディア開発協会の掲げる社会参加が実現できるのです。
 2.4 不安の除去

従来から言われてきた、シニアの三大不安を取り除くためには、これらに関す
る情報をタイムリーに、かつ正確にキャツチして、的確な対処が望まれます。この情報を収集できるのがパソコンであり、パソコンはこのニーズをすべて叶えてくれる「宝箱」なのです。近時、これらの情報がつかみ難いという面もあり、情報を収集することについて第四の不安という意見もあることを付け加えておきます。
・・・故に、シニアはIT列車に乗り遅れてはいけないのです。・・・
3.年齢65歳前後のアドバイザーとパソコンの係わり

・・・シニアを情報弱者にしてはいけない・「シニアに教えるのはシニアが最適」・・・

 3.1 パソコンの価値

 パソコンの価値は、無限の電脳機器であることです。即ち、データの集合・分
析・解析機能、経営管理機能、ネット接続による豊富なデータの収集、画像処理、広報媒体、データの保存再生、暮らしをサポートする生活機能、趣味の世界への誘いとその伸張など、数えきれない機能を有しています。
私たち法人のアドバイザーは142人で、平均年齢は64.5歳です。いま65歳以上のシニアとパソコンとの係わりについてみますと、大半の方々の現役時代には、企業自体にもパソコンの導入は僅少で、パソコンに触れる機会は少なく、せいぜいワープロ機に触れる程度でありました。

 3.2 パソコン教室の誕生・・・教室の主役は受講者です。

 したがって、パソコンが普及すればするほど、パソコンの価値を知るシニアは、
独学でパソコンの勉強をするという涙ぐましい努力を行ってきたのです。私たちアドバイザーの大半はこの経験者です。自分たちが苦労してきたからこそ、高齢化のなかで仲間のシニアを情報弱者にしてはならないという逼迫感、責任感や連帯感が、シニアが教える「シニアのパソコン教室」として誕生したのです。マウスポインターの矢印がふらつき、これがピタリと止まるまでのお絵かきによるマウス練習とか、ゆっくりと分かるまで辛抱強く待つとか、難解な横文字を使わないとか、シニア向けに作った独自のテキストと解説とか、数々の工夫をして、初めてパソコンに触れる受講者から大いに歓迎され、「シニアにはシニアが最適」として、口コミも広がり、習うのなら「シニアネットの教室で」として発展してきたのです。このことは、教室の「主役は受講者」であるという基本認識がアドバイザーに浸透しているからです。
 3.3 受講者数延べ24,677人(平成20年3月末)

 この6年間で一緒に学んだ
シニアの受講者は延べ24,677名を超えました。
このことは「シニア情報生活アドバイザー」のなかで、65歳周辺のアドバイザーが、自分たちの実体験を活かして、シニアに適した教え方をしているからなのです。

〔写真2〕 講座風景

4.アドバイザー養成講座の受講

 「シニア情報生活アドバイザー養成講座」への応募と受講、そして試験

・・・私たちの実情について記述します。・・・
養成講座の制度を知り、応募から受講へという順序には、地方や団体によって違いはあると思われますが、私たちの場合のパターンは概ね次のとおりです。各種の情報でパソコンを学ぶ、教える団体を知る → その団体に加入する  →シニアパソコン教室の開催を知る → そこでのアドバイザーの活動を知る →自分もなりたいと意欲が出る→養成講座へ申し込み・受講する →試験を受ける。
 4.1 受講

 (財)ニューメディア開発協会が制定されたカリキュラムと時間割に沿って、
講座が開始され、多くの知識を吸収します。これを担当する講師陣は、養成講座実施の指定団体であって、既に「シニア情報生活アドバイザー」の資格を取得しているアドバイザーであることはいうまでもありません。講座が始まり、特に、養成講座の目的が「技術力」「支援能力」「活用能力」の三つのパワーを備えるということに大きな意義を感じるのです。
 4.2 認定試験

 規定の24時間の履修の最終日に、アドバイザーとして認証に適するか否かを
問うテストを受けます。
一科目目は「技術力」が評価されるメールのアカウント設定、件名と本文の入力、それに添付文書を付けて発信するのです。
二科目目は「総合力」を問う筆記試験です。 パソコンの機能や操作方法、インターネッ トに関する接続や効用について、20問に 解答します。この解答は記述する部分が多 く、単的に要領よくやらなければ規定の1時間に追われます。
三科目目は、自分自身のパソコンライフの体験を基にして、パーポイントやワー ド、エクセル等を使って発表資料を作り、皆んなの前に出てプレゼンテーションを行うのです。ここでは、教材テキストの講師の心構えの実践の場であるばかりでなく、 発表資料に用いたソフトの使用方法や規定の時間内に発表できたかどうかまでも が試されます。

〔写真3〕 アドバイザー試験

 この、ブレゼンテーションで一番大事なことは、発表する内容が決して自分の自慢話であってはならないということです。養成講座の目的にあるとおり、初心者等への支援やパソコンをやる楽しさを十分にアピールできたかどうか、初心者の方々が「パソコンは面白そうだ。習いたい」と感じる技もチエックされるので、いわゆる初心者向けの魅力のある発表という視点が必要なのです。
いわゆる試験ということは、何回経験しても嫌なことに違いはありません。まして、一定の年齢を経ているシニアには厳しい試練の場でもあるのです。試験までは落ち着かず、気になる筆記問題、プレゼン資料の作成とリハーサルなど、神経をすり減らします。しかし、自宅で夜間勉強に取りくむ母親を見て、「立派だ」、「すごいこと」と多くの家族は思ってくれているのです。


〔写真〕 プレゼンテーション

 4.3 合格→認定証

 試験は採点され、ニューメディア開発協会で評価されて、アドバイザー事務局か
ら「合格」の通知をいただくのです。数日後「認定証」が届きます。 私たちは、こうして苦労された努力を多とし、今後、仲間としての絆を強め、共 に活躍することを誓って、その月のアドバイザー研修会において多くのアドバイ ザーの前で一人ひとりに認定証を渡し、喜びを共有します。合格し認定証を手に して喜ぶアドバイザーを全員で讃えるのです。
5.「シニアパソコン教室」の開催

 教室を開くためには、場所・パソコン・周辺機器・テキストという物。受講希
望者とアドバイザーの人。協会で定められている受講料3万円とテキスト代2,500円の計32,500円を要します。経済の原則どおり人・物・金としての動きがあるのです。指定を受けている養成講座実施団体やシニアネットの大半はいずれも、自前の教室、十分な端末機器を所有していません。これが思うとおりの計画実施を阻む要因となっています。しかし、各団体はそれぞれに工夫し知恵を出して教室や端末を確保し、受講生を集めて教室を開いているのです。こうした努力に対して深甚の敬意が払わらなければなりませんし、平成15年度から協会が定めていただいたアドバイザー養成推進補助事業による支援は、私たちに光を与えてくれています。私どもは、広島市の設備ができ上がる平成14年までは、学校、公民館、郵便局などと借り歩いていたのです。
6.パソコン教室の実数・15ヵ所

 現在、私たちのパソコン教室の主会場は、平成14年5月に第三セクター(財)「ひとまちネットワーク」が新築・開館した「広島市まちづくり市民交流プラザ」6Fのマルチメディア実習室です。ここにはデスクトップパソコンが40台、嵌め込みのプロジェクターにスクリーン、DVDとマイクデッキがあり、4台向き合わせで10のグループに分かれています。この会場で実施するパソコン教室の受講生募集は、広島市の広報紙「市民と市政」で、市民へのパソコン普及と会館教室の有効活用の面から定期的に行われており、この教室の運営を私たちに任されています。受講生の募集について安心しておられることが、教室運営に全力投球できることであり、市と協働事業の大きな成果
であります。
この会場以外に480人が入
居する「介護付き有料老人ホーム」入居者を対象に、私たちが出かけて毎週実施しており、入居者から喜ばれています。このほか、各アドバイザーが居住するエリアの公民館や集会所、各アドバイザーの自宅などと積極的に展開しており、教室総数は15ヵ所を数えます。

〔写真〕 介護付き有料老人ホーム

7.現在までの受講者数・延べ24,677人(平成20年3月末)

 この結果、平成14年から現在までのシニアの受講者総数は、実に24,677
人で、シニアの間で「習うならシニアネット」と口コミでも伝わり、私どもは喜びと共に責任の重さを感じています。広島市民を主とした受講者24,677人から信頼を受けているという責任と自覚が、日常の行動にも影響を与え、姿勢がよく、マナーのよいアドバイザーに受講者の皆様が育ててくれているのです。そして社会的認知が高まっていくのです。
図2〕 講座統計
8.アドバイザー活躍の場

 8.1 シニアネットひろしまの活動

 シニアのバソコン教室だけではなく、次の活動を行っていま
 す。

 ・「広島県健康福祉センター」に、3年間シニアに役立つ生
  活情報を「U
P−DATE」記事として作成し毎月送信。 
 ・同センターのホームページにアップ。また、シニアの方々
  に
「シニアの思い」のエッセイを、毎月リレートークで提
  供し同ホームペー
ジにアップ。
 ・「広島市まちづくり市民交流プラザ」の会館と一体の
  「袋町小学校」一年生へ
のパソコン教室
 ・障害者支援のITサポート
デスクへアドバイザーを派
  し月〜金に障害者からの
パソコンQ&Aを担当
  ・「市立大州中学校」との平和の歌“ねがい”を通じての
  世代間
交流
  ・毎年、8月6日原爆記念日に、ドーム対岸でインターネッ
  ト
とうろう流し。原爆犠牲者の慰霊と世界の恒久平和を祈
   念。
 ・街の祭りやイベントに出かけて、お絵かきや缶バッジ
  づくり。

  ・「広島市社会福祉協議会」のホームページ作成支援
  ・広島市地域ポータルサイト構築への支援
 よって、広島ではアドバイザー資格をとった者が活躍する場所がないという事態は発生していません。現在、第15期養成講座を終了し142人が活躍しています。仮に、状況変化によって活躍の場が減少するようなことがあった場合は、理事長が率先して活躍市場を確保することとしています。

























  
〔写真〕 小学生との教室
〔写真〕 「ねがい」を合唱する中学生
〔写真〕 8月6日
インターネットとうろう流し
 8.2 秋篠宮殿下のご視察

 私たちにとって非常に名誉なことがありました。平成15年9月、広島市で行
われた植樹祭に秋篠宮殿下が来広。広島市の施策事項の一つとして、私たち交流プラザの「シニアパソコン教室」が選ばれ、殿下のご視察の栄に浴したことです。この際の講座は「文字入力」で受講生全員の画面には「秋篠宮殿下、ようこそ
いらっしゃいました」と表示し、大変喜ばれたのでした。
〔写真9〕 秋篠宮殿下
講座をご視察
9.経験等を加味した教室での綿密なアドバイザーの配置計画(講師と助手)

 9.1 教室の実行


 私たちの主力である「市民交流プラザ」における「シニアパソコン教室」は、市民の「一般公募の講座」と「企業との協働事業」による講座があり、それらを「楽集会(がくしゅうかい)」と呼称しています。その中で受講者のパソコン経験の長短に合わせて、「楽集会の基礎・応用・活用講座」」「期間楽集会の基礎・応用」「老人大学の基礎・応用」など8つの講座を設け、多数の受講者のため、午前の部と午後の部に分けて実行しています。したがって、毎月10日間x午前・午後で月平均で20回の講座開設という現状です。1回の受講者は平均35名で、講座は2時間半。担当するアドバイザーは、講師1名、講師用パソコン操作1名、受講者のサポートとして15人程度のアドバイザーを配置しています。
 9.2          綿密な配置計画

 平均して受講者2人〜3人を支援するアドバイザー1人が常にそばにいるため、分からないことがあれば即座に対応でき、これが「シニアネット教室」の人気をいただいている基となっています。このアドバイザー配置表の作成には、基本的に個人の健康状態や家族の事情等を最優先とし都合のつく日程で決めることとしています。個人から提出される都合のよい日程、経験、得意分野、講師体験回数などのバランス調整を「パソコン教室担当役員」が真剣に取り組み作成します。毎月末には、翌月の担当配置表が示され、それによって教室は円滑に運営されているのです。また、教室で使用するテキストは、アドバイザーの知恵を結集した分かりやすいテキストで、指導に有効に作用しています。
10.男女共同参画社会の実践

 10.1 法の精神・女性の尊重


 1986年男女雇用均等法、1994年の男女共同参画社会促進法が制定され
ています。一般社会においては、法の趣旨に沿うため対策が行われています。私たち「シニアネットひろしま」では、男女共同参画社会の実践が行なわれているのです。
 10.2 アドバイザーの男女比・活躍実績

 私たちの法人には「シニア情報生活アドバイザー」資格を取得した者が、会員230人のうち半数以上の142人(女性106人・男性36人)であり、女性が75%を占めています。女性の能力発揮に努めています。また、現在までの教室配置のアドバイザー総数13,642人、うち女性6,907人・男性6,735人で女性が51%の比率となっています。続いて講師として担当したのは総数501名で女性384人・男性117人で女性は77%と高い実績を示し、女性の存在が大きな比重で、まさに男女共同参画社会実践の形が、「シニアパソコン教室」の場に具現されているのです。
〔写真10〕女性講師による講座風景

〔図3〕参加アドバイザの男女比

11 今後の課題

 11.1 ICTへの対応

 2004年12月、u−Japan政策が打ち出され、2010年を目途に「いつでも、どこでも、何でも、誰とでも」のユビキタス社会が間近かに迫っています。最近では、通信と放送の融合でケイタイのワンセグ通信が始まりました。パソコンの効用を三世代間で分析してみると次のようになります。
   ●シニア層:ホームページ、画像処理、健康や家計簿管理表、ハガキ作成、ちらし、新聞、自分史、
   メール、お絵かき、ゲームなど。

   ●現役層:経営指標、管理資料、各種統計、販売管理、VB管理、提案書、データ交換、コスト分析、
   プログラミング、メール、ブログ、
SNS、文書類の作成など。
   ●子どもたち:メール、動画、マンガ、ゲーム、学校新聞、NIE資料、ちらし、塗り絵、ブログ、
   辞書など。
シニア層の使い方は、趣味のジャンルが多いといえます。シニア層以外の世代は、日頃のネット接続やメールは圧倒的にケイタイを使用しています。その意味で情報収集に用いるツールは、パソコンがよいか、ケイタイがよいか、使い方、持ち運び、料金面、災害時の対応などを含めて総合的に検討する時がやってきています。
11.2 アドバイザー資格の格上げ◆準国家資格へ

 アドバイザーは「シニアパソコン教室」等で懸命に活動しています。一方、バソコンのスキルアップや社会問題等、自己啓発の意味も含めてしっかりと勉強を重ねています。行政との協働が円滑に出来ない、話がまとまらない、窓口がないなどの問題があります。これは、「シニア情報生活アドバイザー資格」が協会認証のものであり、国家資格のように社会的認知がされていないことが、要因の一つとして考えられます。 私は、文部科学省認可の日本通信教育協会の「生涯学習インストラクター1級資格」を所持しています。これは各県市の教育委員会に登録されていて、社会的認知がされているのです。ニューメディア協会に従来からお願いしていた「公益法人認定」が晴れて認定証に記載が実現しました。これを受け行政や主要な大学・企業へ広報をいたしました。昨年度の四国フォーラム時に、公式にお願いしていますので、善処していただき「シニア情報生活アドバイザー制度」が社会的に認知され、一人ひとりのアドバイザーに、ぜひ希望を与えてほしいと願うのです。
 11.3 当法人限りの「準アドバイザー制度」

 シニアと共に学ぶ「シニア情報生活アドバイザー」のπ(パイ)を増やすため、一般会員の中からアドバイザーを目指す人材を選択し、当法人限りの「准アドバイザー」制を創設し、自己研鑽と教室の補助をお願いすることとしました。一期生として10人が誕生、その後、正規な養成講座を受講し登録されています。
このことは、全員に希望を与え「やる気」の醸成につながること考えています。
 11.4 パソコン教室受講後、シニアのパソコン活用状況等のその後は・・・

 私たちは、延べ24,677人を超えるシニアと共にパソコンを学んできました。一定のことは、お出来になるものと自負しています。講座終了時点にはアンケートを取り改善に努めています。私たちの課題と反省は講座終了後のアフターケアやホローアップについて、ほとんど行っていないということです。教室では、仲間もでき楽しく勉強されておられた方々の、その後についてパソコンの利用は継続してやっておられるのか、どうか。親しくされていた仲間との関係は継続し進展しているのだろうか、という点です。時の経過と共に一年一年加齢となり、健康のことも気がかりです。シニアネットの役割やアドバイザーの役割は、どこまでなのか、どこまでやればよいのか、について真剣に考えなければならないのです。

 11.5 シニアネットの方向性

 近時、シニアネットの事業活動が従来までのシニア層へITを普及することを中心とした「パソコン教室」等の枠組みから外れて、様々な事業を行う、いわゆる「経営」という形に変化しつつある状況が見られます。
協会主催のシニアネットフォーラムに於いても、この「経営」をテーマとした内容のものが多く取り上げられています。
これら様々な事業活動を決して否定するものではありませんが、その「経営」に参加する者は、「シニア情報生活アドバイザー」という認定者でなければならない性格のものではなく、一般から広く参画できるものと思われます。
 シニアネットは、その名のとおり「シニア」を対象としてITを中心とした活動が基本と考えます。この意味から協会認証のアドバイザーがシニアネットの中で果たす役割はなにかを、原点にかえって考えてみる必要があると思われます。
                                                                           
 以上


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